SaaSやクラウドの普及により、企業はこれまで以上に効率的な業務運営が可能になりました。
一方で、データを社外のサーバーに預けることによる情報漏えいリスクや、不正アクセスの危険性も高まっています。業務効率化とセキュリティは相反するものと思われがちですが、実際には「両立」させることが重要です。
本記事では、クラウド時代に求められるセキュリティ対策をわかりやすく解説します。
なぜクラウド時代にセキュリティが重要なのか
- データの社外保管:クラウドは利便性が高い一方で、外部サーバーに依存するためリスクも伴います。
- リモートワークの拡大:社外からのアクセスが常態化し、不正利用の可能性が増加。
- サイバー攻撃の高度化:フィッシングやランサムウェア攻撃は年々巧妙化しており、被害額も拡大しています。
効率化を優先してセキュリティを軽視すると、重大な事故につながりかねません。
よくあるセキュリティリスク
アカウント乗っ取り
使い回しのパスワードやフィッシング詐欺により、不正ログインされるリスクがあります。
権限管理の不備
アクセス権限が広すぎると、退職者や関係のない社員による情報漏えいにつながります。
サービス停止リスク
クラウドベンダー側の障害で、業務が停止してしまうこともあります。
データ共有の不適切利用
リンク共有や外部コラボレーション時に設定を誤ると、重要データが第三者に公開される危険があります。
セキュリティ対策の基本
強固な認証の導入
- 多要素認証(MFA):パスワード+スマホ認証で不正ログインを防止。
- シングルサインオン(SSO):複数サービスへのログインを一元化し、利便性と安全性を両立。
アクセス権限の最小化
- 必要最低限の権限のみ付与する「最小権限の原則」を徹底。
- 定期的に権限を見直し、不要なアカウントを削除。
データの暗号化
- 保存時と通信時の両方で暗号化を行うことで、情報漏えいリスクを最小化。
ログ管理と監視
- アクセスログを記録し、不審な挙動を早期発見。
- SIEM(セキュリティ情報イベント管理)ツールの導入でリアルタイム監視。
ゼロトラストセキュリティという考え方
従来の「社内ネットワークは安全」という前提を捨て、すべてのアクセスを疑うアプローチが「ゼロトラスト」です。
- 常に認証を求める
- ユーザーや端末の状態を継続的に検証
- 内部からの脅威も想定して防御
クラウド利用が前提の現代において、ゼロトラストは必須の考え方といえるでしょう。
社員教育の重要性
どれほど技術的な対策を行っても、最終的には「人」がセキュリティの穴になります。
- フィッシングメール訓練
- パスワード管理の徹底
- 定期的なセキュリティ研修
ITリテラシーを高めることが、最大のリスク低減につながります。
業務効率化とセキュリティの両立方法
- SSO+MFAで利便性と安全性を確保
- クラウドサービスの監査ログを自動レポート化
- データ共有は権限設定を自動チェックする仕組みを導入
効率化のために導入したクラウドが、セキュリティリスクにならないよう、仕組みで両立を図ることがポイントです。
まとめ
- クラウド時代は業務効率化と同時にセキュリティリスクも増大
- 認証強化、権限管理、暗号化、ログ監視といった基本対策が不可欠
- ゼロトラストの考え方を採用し、「常に疑う」姿勢で防御を強化
- 社員教育を通じて、技術と人の両面からセキュリティを守る
業務効率化とセキュリティは対立するものではなく、むしろ相互に補完し合う関係です。安全な環境でこそ効率化の効果は最大化されます。
FAQ
- Q中小企業でもセキュリティ対策は必要ですか?
- A
むしろ中小企業ほど狙われやすく、対策が不十分なケースが多いため、必須です。
- Q多要素認証は面倒ではありませんか?
- A
初回導入時は手間に感じますが、不正アクセス防止効果は絶大で、結果的に業務の安定性を守ります。
- Q無料のクラウドサービスでも安全ですか?
- A
基本的な対策は施されていますが、機能制限やサポート不足があるため、業務利用には有料版を推奨します。
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