映画『サマーウォーズ』には、世界中の人々が利用する巨大な仮想空間「OZ(オズ)」が登場します。SNS、買い物、医療、行政、ゲーム、金融など、すべてがOZ内で完結し、人々の生活に深く結びついています。
では、このような仮想空間は、2025年の現代に存在するのでしょうか?
今回は、OZに近い現代のサービスや構想を紹介しつつ、「何が同じで、何が違うのか?」を解説します。
OZとは?どんな仮想空間?
まずは、OZの特徴を振り返ってみましょう。
- 全世界のユーザーが参加するネットワーク上の仮想空間
- アバターで操作し、生活・仕事・行政サービスまで完結
- 家電操作、緊急通報、医療データ管理、買い物、選挙管理などに対応
- 高度なセキュリティとAIが導入されている(ただしハッキングに脆弱)
つまり、**OZはただのSNSではなく、リアル社会と完全に接続された「第2の現実」**と言えます。
現代に存在する「OZに似たもの」はこれ!
■ メタバース(Horizon Worlds、Roblox など)
仮想空間でアバターを操作し、他人とコミュニケーションしたり、イベントやゲームに参加できる点ではOZに似ています。
しかし、生活インフラや行政機能までは連携していないため、「エンタメ中心の仮想空間」にとどまっています。
■ スーパーアプリ(WeChat など)
中国で圧倒的に普及している**WeChat(微信)**は、チャット・支払い・買い物・予約・行政手続きまで一つのアプリで完結できます。
生活の中心になるほど便利ですが、「仮想空間」としてのインターフェースはありません。あくまでスマホ上の多機能アプリという位置付けです。
■ Web3/スマートシティ構想
ブロックチェーンやIoTを使って、行政・医療・金融などをデジタルでつなげるプロジェクトが各国で進んでいます。
ただし、まだ実験段階や一部自治体での運用に留まっており、OZのような「世界中の人が日常的に使う仮想空間」にはなっていません。
OZとの違いを比較してみよう
比較項目 | OZ | 現代の類似サービス |
---|---|---|
仮想空間性 | フル3Dの没入空間 | 一部は2D、3Dは限定的 |
利用範囲 | 医療・行政・金融・ゲームなど全領域 | 多くは特化型(SNSだけ、決済だけ等) |
社会インフラ性 | 無くてはならない存在 | 便利だが代替可能なサービス |
リアル連携 | 家電・交通・医療などリアルタイム | 一部は連携しているが限定的 |
未来にOZのような世界は来るのか?
技術的には、「OZ的な仮想空間」は実現可能に近づいています。以下のような技術が融合すれば、実現の可能性は高まるでしょう。
- メタバース(3D仮想空間)
- ブロックチェーン(安全な認証とデータ移転)
- AI(対話・分析・自動化)
- IoT(現実世界との連動)
- スーパーアプリ的な統合UI
ただし、課題も多くあります。
- 個人情報の集中と流出リスク
- 仮想空間に依存する社会の脆弱性
- 権力の集中による監視リスク
- 誰がOZを管理するかという倫理的問題
現実にOZのような世界が訪れるには、技術進化だけでなく、社会的な合意形成やセキュリティ対策が不可欠です。
まとめ:今のところ「OZ」はまだ夢物語
現代の技術やサービスを見渡してみると、OZに部分的に似たサービスは存在しますが、完全に同じものはまだありません。
言い換えるなら、私たちはまだ「OZが実現する前夜」にいるのかもしれません。
しかし、映画で描かれたように、技術に依存しすぎた社会は、AI暴走やサイバー攻撃で一気に崩壊するリスクもあります。便利な一方で、制御や倫理も求められるのがOZ的社会の特徴です。
Q&A:よくある質問
- Q今一番OZに近いのはどれ?
- A
中国の「WeChat」と、Meta社の「メタバース構想」が最も近い存在といえます。
- Q日本ではこういった構想はある?
- A
スマートシティ構想や、マイナンバーとの連携拡大が進んでいますが、OZのような仮想空間には至っていません。
- QOZのような世界はいつ来る?
- A
技術的には2030年代には可能とされる意見もありますが、倫理・安全性などの課題から、完全実現はまだ先になりそうです。